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2016年12月31日 (土)

【名】只の年またくるそれでよかりけり/星野麥丘人

『俳句ポスト』兼題「波郷忌」の時に、
門下生の1人としてけんGさんがご紹介下さった星野麥丘人。
そしてこの記事を読み、一発で大ファンになってしまいました。
何と肩の力の抜けた、自然体の詠みでしょう。
年末年始の感慨句と言えば、真っ先に思い出されるのは

去年今年貫く棒の如きもの    高浜虚子
ともかくもあなたまかせの年の暮 小林一茶
ゆく年のゆくさきのあるごとくゆく  鷹羽狩行

などではなかろうかと思われますが、
私の気持ちに一番ぴったりでしっくりきたのが星野麥丘人の句でした。
読んだ瞬間、「ほんと、そうよねえ~」と。

テニス漫画『エースをねらえ!(山本鈴美香)』にこんなセリフがあります。
主人公・岡ひろみに惚れこみ、追いかけ続けているカメラマン・千葉ちゃんの言葉です。

では美とはなにか?
『それはある種の衝撃だ』という
見る者がぼう然とする
あるいは度肝を抜かれる
そういう非凡な要素がないと人は美しさを感じない


俳句も、思わず「オオッ!eyeshine」と思わせる要素があればこそ、
人は感動し、その句を心に刻むのかも知れません。
あるいは、「何だこれ、どういうことを言ってるんだろう?」と心にひっかかりを残す、
何処かしら異質な存在感を放ち続ける句にも、我々を魅了する「何か」があります。
「驚き」「発見」「不思議」「玄妙」「優美」
そういった、読者の心にある種の衝撃を残す句に比べて、
「共感」は感動の残り具合としてはやや弱いものなのかも知れません。
余程その時に「よくぞ言ってくれました!」というようなインパクトがあれば別ですが、
「うんうん、そうそう」程度では読み流されて消えてゆくものです。

しかし、「何もない」ということを言って人を感動させることが出来るのもまた、
俳句の大きな魅力だと思っています。

ただただ時の柔らかな流れのなかに、力をいれずに身をまかせているだけです。
なんだか止め処もなく湧いてくる、この湯気のような月日だなと思いながら、
ありふれた日々のありがたさに、肩深くまで浸かっています。
よいことなんて特段起きなくていい。
生きて何事もなくすごせることの奇跡を、じかに感じていたいのです。
                 新日本大歳時記』(2000・講談社)所載。(松下育男)

                               『増殖する俳句歳時記』より

それ以上でもなく、それ以下でもない、真実の呟きであればこそ、
この一句はジワジワと光を放ち続けます。
「只の年/またくる/それでよかりけり」
舌に乗せた時に感じる、何とも言えない心地良さ、絶妙の脱力感。
そうか、星野麥丘人は、「完成された脱力」の会得者であったのかcoldsweats02impact
なかなかこの境地には至れません。
このように、何気なしの呟きに思えて、
実は研ぎ澄まされた「たったこれだけ言えればいい」というもの。
下五「それでよし」として中七に何らかの情報を足すよりも、
「よかりけり」との、ゆったりした着地による余韻がやはり佳いのです。



白玉やくるといふ母つひに来ず
花たのしいよいよ晩年かもしれぬ
梅雨深し金貨降る夢みたりけり
世の中にあつてよきもの金魚の日
足湯して十一月も終りけり
幸せといへば幸せ雪まろげ

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コメント

麦丘人さんの句、わたしも大好きです。

日常って、そんなにドラマチックじゃないですもんね。

平々凡々、無事(なにごともない)、それに充分自足し、感謝して生きる。

私が目指しているのも、これ見よがしでない、こういう達観の句境の句。

いいよね~麦丘人さん!

◆比々きさま

コメント有難うございます!shine
星野麥丘人、いいですよね!
意外とたくさんある嫁句もいちいちナイスcatfaceshine
何気なく、さりげないけれど、胸にスポっと嵌る句。
こういった句を風が運んできてくれるように、日々を慈しんでいきたいです。

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