最近のトラックバック

2019年4月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30        
無料ブログはココログ

« 【人】るうるうと芒種の川の太りけり | トップページ | 【金】海亀の砂浜ほどに乾きけり »

2017年6月 9日 (金)

◆「ゆんぼくん/西原理恵子」

西原理恵子作品を初めて読んだのは「まあじゃんほうろうき」。
途轍もない才能に唸った。
それから「ゆんぼくん」「ぼくんち」「はれた日は学校をやすんで」などを買った。
「ぼくんち」は、妹の長女にプレゼントしたりもした。
誰もが抱える無常観に裏打ちされた抒情性は、一度でも読めば心に深く刻まれてしまう。
ある日突然そのひとコマが甦って、ポロポロ涙が零れてしまうこともあった。
「ゆんぼくん」は、表紙の男の子が、あまりにも息子に似ていたからジャケ買いした。
毎日少しづつ大きくなるゆんぼくん、
そんなゆんぼくんを包むかーちゃん。
二人が過ごす毎日には、素敵な言葉がいっぱい溢れている。

「におってごらんゆんぼ。風がもう夏のにおいじゃないよ」

「ひぐらしがないてるね。いっしょうけんめいなかないと死ねないんだよ」

「かあちゃん」
「何?ゆんぼ」
「えんがわでねると目の中がきれいだね」
「うん、きれいだね」

「さむくなったから星がきれいだねえ」

ゆんぼくんはどんどん大きくなり、複雑な感情を覚え、やがてグレてしまう。
かーちゃんも実はなかなかのプログレかーちゃん。
かーちゃんと衝突を繰り返して、ゆんぼくんはついに家を出て行ってしまう。
最終話は、ゆんぼくんの姿はひとコマも描かれない。
子連れ女がニコニコしながら話しているだけ。

「あんたさ、この子に絵をかいてくれたじゃない。
 私ら北のはしの生まれだからへんでおもしろくてね。
 山のかたちがまるいのがね」

「変じゃないよ。
 大の男がね、かあちゃんに会いたくて泣くのは変じゃないよ」

かーちゃんから離れて、ゆんぼくんが出会ったのは、
これまた大らかで気のいい「かあちゃん」だった。

私の息子も出て行ってしまった。
「おかあ、もうひろくんに百万回好きって言ったかな?」
「言った。百万回聞いたよ俺」



子どもが幼稚園の時、急に私を見つめてフフっと笑って言ったことがあった。
「おかーちゃんはゆびを切ったら、
 血のかわりに『ひろくん大好き!』がこぼれるんじゃないの?ぴゃーーーーって!」
って両手を広げて、くるくる回って本当に楽しそうに笑ってくれた。
そんな愛情過多な私と、25年間も本当に上手に付き合ってくれたと思う。
いつかどこかで、素敵なひとに出会って、うんとうんと幸せになってね。

「ゆんぼくん」2巻にある、かーちゃんのセリフがいつまでも心から離れない。

「かあちゃんはここにいておまえのうわさだけききたいよ」

« 【人】るうるうと芒種の川の太りけり | トップページ | 【金】海亀の砂浜ほどに乾きけり »

漫画×俳句」カテゴリの記事

コメント

西原理恵子は「ぼくんち」しか読んだ事がないのですが黒い丸だけで描かれた眼とあっけらかんとした表情でものすごい台詞を言う時に涙が溢れてきた記憶があります。
めぐるさんが記事で書いてくださった台詞を読んでいるだけでジーンと来ちゃってます。
ふと、自分の子供の頃なりたいと思っていた仕事を思い出しました。父がたいへんな酒乱であったので、安心して夜寝られる事が唯一の願いでした。
なので、将来はそういう子を匿う「トラの子ホーム」(名前まで付けていた・笑)を作るんだ!って。

電車内です。こういうのダメです。リアルに泣いてます。鼻までかんじゃいました。

私もたくさん好きって言っておこう。

もう昔のことで忘れてしまっていましたが、
「パーマネント野ばら」と「女の子ものがたり」は読みました。
西原理恵子は反則です。うかつに読むと魂を揺さぶられます。

めぐるさん

息子さんがどんな子かなあと思って表紙を見にいきました。
うんうん、そうかそうかぁって思いました。

西原理恵子さん、私も大好きです。
うちの息子も西原さん好きで私も息子が大好きです(ややこしい?)

めぐるさんが今いらっしゃる家のいろんなところに息子さんの思い出がいっぱいですよね。
町を歩いても何を見ても。
子どもは親を思い出さないけれど、親は。
こんな感情をなんと名づけたらよいのかなあって思います。

◆かま猫さま、はまのはのさま、月波さま、寿々さま

有難うございます!!
こみ上げてくるものに邪魔されてなかなかUP出来なかった記事でした。
でも、たくさんの方からコメント頂いて救われた気分です。
次はもうちょっと明るい作品を紹介しますね

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: ◆「ゆんぼくん/西原理恵子」:

« 【人】るうるうと芒種の川の太りけり | トップページ | 【金】海亀の砂浜ほどに乾きけり »