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2017年7月30日 (日)

◆「青空や花は咲くことのみ思ひ/桂信子」

図書館から、桂信子著「信子のなにわよもやま」を借りた。
掲句は、木割大雄による「まえがき」の中で紹介されていて、一読で非常に惹かれた。
本文中でも同氏が「桂信子の最高傑作」だと思っていると書かれている。

季語以外の言葉を「や」で詠嘆するのは至難の技だと思うが、
この「青空や」は実に自然。
「青空や」と振り仰いだ後、視線は近景の「花」へ。
蕾もあろう、すでに開いているものもあろう。
早くも散り始めた花もあるかも知れない。
しかし、「花」はすべからく「咲くことのみ」を思っている、というのだ。
この断定は、ギュっと心に入ってくる。
そうだ、花は咲くことしか考えていない。
散る姿さえ、実はその瞬間を最大に咲いているのだ、
だから桜は散りざままでがあれほどに美しいのだ。
・・・そんなふうに思い、目頭が熱くなった。
脳裏の、桜の前で涙する私は、自然と空を振り仰いでいた。
「青空や」
言葉にならない思いを投げ上げる。あたたかくやわらかい、真っ青な空へ。

この「花」を「人」と置き換えて感じるとき、感慨はさらに深くなる。
木割氏は「散ってたまるか」と書いている。
私は、「散る時さえも美しく」と読んだ。
桂信子は、本書の中でこの解釈について述べてはいない。
「まだまだやってくださるんだと確信しました」という木割氏の言葉に、
「それはわかりませんよ」と笑みを返している。

藤の昼膝やはらかくひとに逢ふ
ふところに乳房ある憂さ梅雨ながき
ゆるやかに着てひとと逢ふ蛍の夜
窓の雪女体にて湯をあふれしむ
雪たのしわれにたてがみあればなほ

■「信子のなにわよもやま」平成14年3月31日刊行
桂信子:1914年11月1日~2004年12月16日。大阪生まれ。

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コメント

めぐるしゃん♪

>散る姿さえ、実はその瞬間を最大に咲いているのだ、

なんて深く美しい言葉!
佳句に添えるにふさわしい人生の祝福の言葉ですね。
いつも深い素晴らしい鑑賞をありがとう!ドキドキざわざわチリチリ心がざわめきます。
桂信子さんという人を知らなかったのですが女性的な素敵な句ばかり!
俳句はキリリとして簡潔だから女性的な柔らかさ、瑞々しさがよく合うなあ~

◆桃にゃん

いつも有難う~!!
「鑑賞は自由だ!」ということを心の支えに、
自分の受けた感動、解釈を何とか言葉にしようと踏ん張っております。
桂信子さん、有名な句のいくつかを知っていただけでしたが、
大阪の方だったとは!
「信子のなにわよもやま」は対談本となっていて、
実に多岐にわたる興味深い話がたくさんです。
師の日野草城のお話し&句もたくさん!shine
もし、どこかで見つけられたら是非ご一読をheart04

めぐるさん、素晴らしいお句ですね!
仰る通り「花」を「人」と置き換えた時に、心が震えました。
私は「咲くこと」を「幸せ」に変換して読みました。
願っても願っても手の届かない幸せ。
それでも希望を捨てずに、願い続ける健気さがすごく愛おしくて、
読む者の心にまで優しさと強さがしみ込んでくるよう。
「最高傑作」と言われる所以がよく分かります。

◆月波さん

こんばんはshine
本当に、一読で忘れられない句になりました。
すぐれた句には、自然を描きながら人生を重ね合わせられるところがあると思います。
「そうだよね、人間だって同じだよねweep
そう感じた時、一句が、人生の指針のように心の真ん中に降り立つ・・・。
この句は、桂信子の代表句や人気ランキングの中には出てこないようですが、
忘れ難く胸の奥に包み込んでいる方も決して少なくないと思うのです。
いつもながら月波さんの美しい鑑賞に心あたためられて、私は幸せですshine

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