最近のトラックバック

2018年9月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30            
無料ブログはココログ

« ◆7月11日締切の兼題:「踊」 | トップページ | 赤潮や踏めば病気の分かる石 »

2018年7月 5日 (木)

美しき緑走れり夏料理/星野立子

夏、特に初夏を迎えると思い出す句。

「美しき緑」とは何であるか、人それぞれにイメージを持つだろう。
それは周囲に広がる風景の緑かも知れない。
あるいはひとすじのあしらいかも、
もしかすると、生命力に満ちた夏野菜の緑かも知れない。

私にとっては、その一瞬心に走るときめきそのもの。
「夏料理」が運ばれてきて目の前に置かれた瞬間の、
「わあ、美味しそう!」という感激そのもの。


技巧的なことを言うのは野暮な気さえするが、
上五「美しき」で軽く切れて、「みどり」「はしれり」「なつりょうり」と畳み掛けて来るリズム、
この音韻の心地良さが清冽な水の迸りを感じさせ、いかにも新緑の勢いときらめきを彷彿させる。
清涼感、色彩感、そしてスピード感、
「夏料理」のすべてが言い尽くされているのではないだろうか。

星野立子には、軽やかで爽やかで、光を感じさせる句が多い。
戦時中・戦後の厳しい時代を生き抜いてきた人が、
これほど屈託のない句を書くことは、実は大変なことなようにも思うのだ。
苦しい時ほど、周囲を照らす灯であり続けようと願った心そのものが、
十七音となって発信され続けたのではないだろうかと考えたりもする。
星野立子の句群に触れるたびに前向きなパワーをもらい、
世界が輝きに満ちていることを改めて感じるのは、きっと私だけではないはずだ。



買い物の好きな女に師走来る
しんしんと寒さがたのし歩みゆく
女郎花少しはなれて男郎花
きらきらと松葉が落ちる松手入れ
囀をこぼさじと抱く大樹かな
美しき人は化粧わず春深し
桃食うて煙草を喫うて一人旅
いふまじき言葉を胸に端居かな
残暑とはショートパンツの老人よ
露の世に間に合はざりしことばかり

星野 立子(ほしの たつこ、1903年(明治36年)11月15日 - 1984年(昭和59年)3月3日)

« ◆7月11日締切の兼題:「踊」 | トップページ | 赤潮や踏めば病気の分かる石 »

名句鑑賞」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/2251208/73629153

この記事へのトラックバック一覧です: 美しき緑走れり夏料理/星野立子:

« ◆7月11日締切の兼題:「踊」 | トップページ | 赤潮や踏めば病気の分かる石 »