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まつやま俳句ポスト365

2017年11月18日 (土)

◆探梅

◆季語解説

・俳句ポスト
梅林や庭園などに植えらたものではなく、まだ雪深い山などに、
春の知らせとして春に先駆けて咲く梅を尋ねることをいう。

・日本の歳時記(小学館)
梅はいち早く春を告げる花だが、
「探梅」は、春を前にして早咲きの梅(早梅)を探して野山を歩くこと。
春を待つ心のあらわれのひとつ。
もともと漢詩で使われていた言葉(後略)。→陸游
半吐幽香特地奇   半ば幽香を吐いて特地に奇なり
正如官柳弄黄時   正に官柳の黄を弄する時のごとし
放翁頗具尋梅眼   放翁すこぶる具う尋梅の眼
可愛南枝愛北枝   南枝を愛すべくして北枝を愛す

ほころびかけた梅の香りはまことに香しく、
まさに芽吹き始めた柳の糸さながら。
この放翁(陸游の号)には「梅を尋ねる目」がある。
世の人は満開の南の枝を愛でるが、私は咲き始めた北の枝を愛でる。

・きごさい
春を待ちかねて、まだ冬のうちに早咲きの梅を求めて山野に入ること。
枯れ尽くした大地の中に春の兆しを探す心映えを尊ぶ。
寒気の残る山野を、一輪の梅を探し求める姿は、
人生の真を追い続ける心の旅にも似ている。

思わずニール・ヤングの「孤独の旅路」が脳内に流れました。

・小歳時記(水原秋櫻子編)
早咲きの梅を探して山野を訪ね歩くのを探梅または探梅行という。
本格的な梅の開花のころの梅園や近隣の梅を見て歩くのとは違い、
まだ確実に咲いているのかどうかわからない梅を探し歩くものなので、
心のどこかに余裕もあるし、
また咲いていたとしても一、二輪といったところなので喜びも大きい。
しかも大勢で歩くものではなく、一人二人で出掛けるものである。
俳句作者たるもの人に先がけて季節の変化を見付け出す努力を怠っては、
微妙な季感をとらえる感覚をみがくことはできない。

「俳句作者たるもの」・・・にドッキンドッキン!coldsweats01ががががんばります!!!

◆例句(『575筆まか勢』『増殖する俳句歳時記』より

あなづりし道に迷ひぬ探梅行  松本たかし
密談のほしいままなる探梅行 上野英一
どこからも見ゆる露坐仏梅探る 加藤富美子
梅探る離宮の奥に舟着場 増山千鶴子
丘ひとつ越え探梅のつもりなり 藤田湘子
探梅のナップザックに電子辞書 川崎展宏
探梅の寒さばかりを言ひどほし 正木ゆう子
探梅の間に半生を聞かさるる 中戸川朝人
探梅や山の名のつく駅に降り 池田秀水
探梅や遠き昔の汽車にのり   山口誓子

「探梅」という行動の中にある実感や会話・・・といった句が多いですね。
取り合わせっぽい句は少ないのですが、「仏」「舟」など
川崎展宏の句が今時っぽいですね。
おかげで一句閃きましたflair

◆ヒント
・「小さな喜びを探す」という正統派のものから、「息抜き」「適当な外出の口実」というくだけた物まで、色々とありそうconfident(byシラズくん)

2017年11月12日 (日)

◆11月15日締切の兼題:「炭」

◆季語解説
・『俳句ポスト』
ナラ、クヌギ、カシなどの木の幹や枝を適当な長さに切り、窯で蒸し焼きにして作る。
作り方によって様々な種類があり、用途も様々である。

・『日本の歳時記(小学館)』より抜粋
木材を炭窯で焼いて炭化させた燃料。
ガス・石油、電気などが登場する前は、料理も暖房も炭か薪に頼っていた。
炭は薪よりも煙や煤が出ないので、火鉢や湯の炉など、室内では炭を用いた。

傍題:木炭、堅炭、白炭、炭の香、炭火、消炭、炭納屋、炭挽く、炭売、炭斗、炭俵
・『俳句小歳時記(水原秋櫻子編)』より抜粋
一見素朴で単純に見える作業だが、火加減、空気の調節をあやまると灰になってしまう
気の許せない仕事である。
灯を消したあと灰を通して見える薄明りは美しい。

傍題:木炭、消炭、炭俵

◆例句
・『575筆まか勢
・『増殖する俳句歳時記

よそ事と思へぬ話炭をつぐ     間浦葭郎
丹念に炭つぐ妻の老いにけり   臼田亞浪
佳きことのありて跳炭愉しくて   岩崎 すゞ
小説も下手炭をつぐことも下手  久保田万太郎
かかはりもなき靴音か炭をつぐ  鷲谷七菜子
人といふかたちに炭をつぎにけり島 雅子
更くる夜や炭もて炭をくだく音   大島蓼太

◆小川双々子
例句の中の「炭俵的にぞ立つてゐようと思ふ/小川双々子」に惹かれ、
他の句も見てみました。(コチラとかコチラ)凄いですね・・・すごく好きになりました。
俳号を何と読むのか分かりませんでした(「ヌヌ子じゃないよね?」とは思っていた)が、

「そうそうし」だったのですね。そして男性だったのですねcoldsweats01
兼題「炭」のおかげで、また素晴らしい俳人の方を知れて嬉しいです!

◆参考記事
備長炭(Wikipedia)楽器にもなる。
・「紀州備長炭
・「枕草子」
冬はつとめて。雪の降りたるは言ふべきにもあらず、霜のいと白きも、またさらでもいと寒きに、火など急ぎおこして、炭持て渡るも、いとつきづきし。昼になりて、ぬるくゆるびもていけば、火桶の火も、白き灰がちになりてわろし。
習った時、春~冬、全部暗誦しましたね。
私は寒がりで冬は滅法苦手なので、
その冬の中でも最も寒い朝方こそ「冬らしい」とするこの一文、とっても印象的でした!
・日本の昔話「猫と茶釜」(日本昔話「赤猫」も同じ話)
私、ずっとこの話のタイトルは「茂吉の猫」だと思っていましたが、それは別な話でしたsweat01
兼題「炭」は「昔話」「民話」「妖怪」などと相性がいいはず・・・!
そして、今度こそ「自在鉤」の出番か?(ドキドキ)
・「木にならう
・「世界遺産の自然と暮らし

2017年11月11日 (土)

【人】いうまいぞうまいまいたけくうまいと

『俳句ポスト』兼題「舞茸」の発表週です。

【人】舞茸の天麩羅ざふと喰らひつき
【人】舞茸の天ぷらばりばりばりのばり  井上じろ
【人】舞茸の天ぷら花の湧くやうに    剣持すな恵
【並】舞茸の天ぷら花と広がれり     葉音@チーム天地夢遥

「舞茸の天麩羅(4)/天ぷら(11)/てんぷら(4)」。
このキーワードでは多くの投句があったようです。
類想が多いだけに、殆どが【並】、【人】には4句。
「食感(オノマトペ)」を詠んだ句がそのうち2句あり、小さなオリジナリティが評価されたようです。
他の天麩羅では味わえない、あの独特の食感がたまらなく好き!deliciousshine
この句は、「さー次は『舞茸』だ」というタイミングの時に、
月波さん&こうこさんと入った居酒屋さんのメニューに「舞茸の天麩羅」があり、
大喜びで食べた時に出来たもの。2回くらい頼んじゃったcoldsweats01
【人】頂けたのはお二人のおかげです、有難うございます!!
また行きましょう飲みましょう!upupup

【人】いうまいぞうまいまいたけくうまいと
【地】まひたけはやうにほとほるほとのやう  凡鑽
【人】まいたけはさけてわたしはさみしくて  さとうりつこ

「似た語感の言葉を並べて一句を構成」「ぜんぶ平仮名」。
【天】の句も「ぜんぶ平仮名」でしたね。
「舞茸」というとあの「びらびら」、「ひらひら」が特徴ということで、
「オノマトペ」「リフレイン」「平仮名」と相性がいいと感じました。
まさにそんな着想からの2句を採って頂いたことで、
嬉しくて嬉しくて、また舞茸を買ってきて、天麩羅にして美味しく頂きましたdeliciousshine
意識的に固めに揚げて、井上じろさんの「ばりばりのばり」を味わいましたよ!!
そして揚げる時は、すな恵さん&葉音さんの「花」を感じました。
天麩羅鍋一面に広がって・・・ああ、もう「花」にしか見えない。幸せ!heart04


最後になりましたが、「舞茸」掲載の皆さん、おめでとうございます!!
皆さんの句を読んで、自分の生活の中で「おぉーこれが!」「ホンマやー」と実感する時、
絶対に忘れない、その度に思い出す句として自分の中に宿ります。
俳句をやっていて楽しいのは、こういう句が増えていくことだと師匠が言ってました。
本当に素敵だな、と思います。今週もたくさんの句と出逢えて感謝です。
有難うございました!!!

2017年10月27日 (金)

【天】烏瓜あれは迷い家だつたのか

ぎゃーーーーっ。


ぎゃーーーーーーーーーーっ。



ぎゃーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっshinecryingshine



【人】の発表リストの中で、「もしかして金曜フラグですか?」という位置に名前があったので、
「うおっまさか!?いやでも前もこんなことがあって不発だったじゃないか、
いかん、いかんよ期待しちゃ~~~・・・coldsweats01」という微妙な心持ちで迎えた金曜日。
個室の清掃後、PCの動作チェックを行うという職場環境をいいことに、
10時2分頃に『俳句ポスト』の結果をチラ見して、いきなり飛び込んできた自句にビックリ!!
(びっくりしすぎて慌てて消す)
その後、また別な席の清掃後に、もう一度見て、「マジか!?coldsweats02」と思い、
PCを開く度に増えてゆく皆さまからのお祝いコメント&お祝いメールの数々に涙涙・・・。
普段から交流のある方、お久しぶりの方、この機に初めてコメント下さった方、
皆さん、まとめてで本当に申し訳ありませんが、
本当に本当に有難うございます・・・!!!


【天】烏瓜あれは迷い家だつたのか
「迷い家(まよいが)」とは『遠野物語』の中に出てくる伝承です。山中に忽然と現れる幻の家で、そこを訪れた人に不思議な富をもたらすという話。「マヨヒガに行き当りたる者は、必ず其家の内の什器家畜何にてもあれ持ち出でゝ来べきものなり。」とあり、何かを持ち出すと富者になれるといわれているのだそうです。
『遠野物語』では、「迷い家」に出会いながらも何も持ち出さなかった女に、後日、川上から赤い椀が流れてきます。女はそれを「ケセネギツ(雑穀を収納する櫃)」の中に入れ、穀物を計る器として使ったら、いつまでたっても穀物が尽きなくなった、という話が収録されています。
「烏瓜」の色は独特の朱です。ハッと心が動きます。見つけると得をしたような気分にもなりますが、見てはいけないものを見つけてしまったような、不可解な気持ちにもなる。不思議な実だなあといつも思います。美しいような怖いような、ほのぼのと懐かしいような、はたまた妖しく隠微にも思え、そんな「烏瓜」の複雑な属性を踏まえた上で、「迷い家」と取り合わせたところに強く惹かれました。
「あれは」やはり「迷い家」だったのか。山中にあった豪奢な屋敷。立派な黒い門、牛小屋には牛、馬小屋には馬、広い庭には紅白の花、鶏の遊ぶ庭、朱と黒の膳と椀、火鉢にたぎる鉄瓶の湯。そして人のいない静けさ。恐ろしくなって逃げ帰ってきたけれど、気が付けば手には「烏瓜」だけが握られていた。あれ以来、「烏瓜」を見る度に、やはり「あれは迷い家だつたのか」という思いが去来する。
季語「烏瓜」の持つ本意を『遠野物語』の世界に見つけた一句。この「烏瓜」はいつまでもいつまでも虚の世界に鮮やかな朱を吊るします。(夏井いつき)


実は、「遠野物語」自体を読んだ訳ではないので、多少心苦しいのですが、
大好きな「うしおととら(藤田和日郎)」という漫画の6巻~7巻に「迷い家」が出て来ます。
それで、Wikipediaで調べて、お話を知りました。
しかし、表記を「迷ひ家」にするのを忘れていて・・・以後、以後は気をつけますcrying

「烏瓜」と言えば、俳句上達の方法として比々きさんからオススメして頂いた、
名句鑑賞」の第一弾に選んだのが正木ゆう子の「烏瓜」の句。
兼題「烏瓜」に向かうに当たって、この印象を大事に考えました。
この【天】は、まるで、そのことへのご褒美のようです。
こんなに嬉しいことはありません。
先人のすぐれた句に触れることで、季語の本意の片鱗を感じ、作句に活かすこと。
そのことを教えて下さった、比々きさんのお導きに、心から感謝します。
そしてこれからも、私なりに少しずつ前進していきたいと思っています。

胸がいっぱいすぎて、「水涸る」が全然思い浮かばないなんて言い訳しちゃダメですよねcoldsweats01
全没喰らわないように、こちらも頑張って考えます!!
ウオオオオオ!!!upupup

【人】山小屋は少し傾いで烏瓜

『俳句ポスト』兼題「烏瓜」の発表週です。

【人】山小屋は少し傾いで烏瓜

これまた、20句投句中のラス2であります。
「いのち」「今にも落ちそう」「危なっかしい」「不安」といったイメージで書きましたが、
ここらへんになってくると、頭で思いつくような句が底を尽いてきて、
肩の力の抜けたような句が出て来るのかも知れません。

○唐突な不気味さ、見てはいけないものを見てしまったのではないか、
という不穏も感じる不思議な季語です。(『俳句ポスト』火曜日より)



バラエティに富んだ木曜掲載の皆さんの句にも、様々な「不穏」があったように思います。
めくるめく「烏瓜」の世界、じっくり読ませて頂きますshine

最後になりましたが、木曜掲載の皆さん、おめでとうございます~!

2017年10月15日 (日)

【人】櫨紅葉「嘘よ」と嘘をつきました

遅くなりましたが、『俳句ポスト』兼題「櫨紅葉」の結果です。

【人】櫨紅葉「嘘よ」と嘘をつきました
【人】櫨紅葉良き軽石を見つけたり


え~~~、この時はカウントをミスっていたんだっけ、
あと1句が浮かばなかったんだっけ・・・。
20句の予定が19句しか送れてなくて、入選句はそのうちのラス2とラス3でしたsweat01
投句一覧を見たら「ちょっと一回しまっていいですか?」な句が5句ほどあったので、
難産だったんだと思いますcoldsweats01
「取り合わせ系」と「情念系」の2パターンで考えて、
両方から一句ずつ採って頂けたことが、すごく嬉しいです。
夏井先生が取り組みを見て下さって、ひとつずつ選んで下さったようでshine

◆全投句(-5句)一覧

櫨もみぢ縁切り寺に置く鋏
櫨紅葉水子地蔵の小さきこと
櫨紅葉カルテの細き筆記体coldsweats02「プチ句会」の「NENUの細き筆記体」自己模倣sweat01
石橋の下は涸れ川櫨紅葉
櫨紅葉神馬に金の鏡板
鏡湖池に姿正しく櫨紅葉
野仏の鼻なき顔や櫨紅葉
櫨紅葉良き軽石を見つけたりflair

櫨紅葉姉は未婚でよいと言う
恋に死すことに憧れ櫨紅葉
濃き味の好きな妻なり櫨紅葉
櫨紅葉口に針ある老女形
 「老女形」文楽に用いる人形。右唇に袂や手拭をくわえるための口針がついている。
 泣く演技をする際にこれを用いる。
櫨紅葉ペディキュア青き兄の嫁
櫨紅葉「嘘よ」と嘘をつきましたflair


パターン別に分けましたが、どちらも出来た順に並べています。
「情念系」の方は、ちょうど漫画「悪魔の花嫁」を買ったところだったので、
そこから思いついた句ばかりです。
中学生の頃の漫画だと思うんですけど、今でもめちゃくちゃ好きだわ~~~coldsweats01
「取り合わせ系」の方は、すりいぴいさんへの挨拶句です。
いつも細やかな心配り、優しいまなざしを有難うshine
最初のうちは類想ど真ん中から入っても、だんだんと自分の好きなもの、好きな人、
そういう、自分の中で息づいているものが出て来るんだと思います。
頭で考えるな、心で書け。ということなのかなと、この頃つくづくと感じています。

2017年9月18日 (月)

◆「鰯」十句選

『俳句ポスト』兼題「鰯」の木曜日からの十句選です。
個人的に心を揺さぶられた句について、
好き勝手書き散らかしていきますが、どうかご勘弁を!coldsweats01

鰯毟る話せば長いことながら     めいおう星
日常的によく使われるセリフですが、「鰯毟る」から指に伝わる小骨の感じを想像し、ずっと心に小骨のひっかかりを感じていたようなことを、今やっと話せる心境になった・・・というシーンが浮かびました。こういった話は相手が聞き上手でないと出来ません。気の済むまで話せて、「ま、終わった話だけどね」と、ニッコリ笑えるといいなと思いました。そして毟った鰯はゴリゴリと擂って丸めて、美味しく召し上がって頂けたらと。

人魚集ひ鰯に星を捺す遊び      こま
「鰯」に「星」を配した句は数あれど、中でも「これは!!!」といった衝撃を受けた一句です。月光がことのほか美しい夜、クスクスキラキラと綺麗な笑い声を立てながら、人魚が鰯を掴まえては星をスタンプしていく。俗に「七つ星」と言われる鰯ですが、もっといっぱいついてる鰯もいる。星の数がまちまちなのは人魚が遊んでたからだったのかーcoldsweats02impactこの発想、私も持ちたかったーぐわああああ。強烈に痺れ憧れました!!!

きっぱりと鰯嫌いの妻である      ラーラ
「そうか!そう詠んでもいいんだ!!!」と目からウロコが落ちた一句です。秋刀魚と塩サバは食べたことあるけど、鰯はなくて、苦手意識からずいぶん長いこと兼題から目を背けていたんですが・・・なんか自分の曇っていた部分をザバーっと洗い流してもらったような気がしました。否定を描きながら小気味良い一句。「夏痩せて嫌ひなものは嫌ひなり(三橋鷹女)」然り、キッパリハッキリとモノを言うひとは魅力的ですshine

骨砕く音ごと喰らふ鰯かな       耳目
「喰う」というシーンの臨場感を最も感じた句です。「音ごと喰らふ」という措辞から、ありありと「バリバリ食べている」いる感じが伝わってきて・・・。食パンのCMでも、トーストを食べる時の「かりっ」というか「ざくっ」というか、あの「音」が美味しそうなんですよね。鰯もきっとそうなんだろうなと。食べ物の句は何よりも「美味しそうに」が鉄則とのこと。次回の兼題「舞茸」も食べ物でもあるので、「これが旨いんじゃ~!delicious」を探したいと思いますheart04

独り居て鰯を焼いて独り寝る     有瀬こうこ
地選句「鰯焼く一人はたまにだからよし(かをり)」の裏表のような一句。寂しいとも気楽とも言わないのですが、「独り」と「独り」の間を振り子のように行ったり来たりしているうちに、心が透明に近づいていくような気がしてきます。そういえば、実家の近くにはこんなおじいさんがあばら家に住んでいて、川魚を釣って畑の野菜を採って暮らしていたっけ。鰯を焼く煙は細くたなびき、もの言わぬ秋の空に吸い込まれていきます・・・。

その龍は堕ちて鰯になりました    あるきしちはる
ああっ!鰯があんなにも群れて巨きくなるのは、かつての龍の姿を取り戻そうとしているからだったのかっcoldsweats02impact「人魚」の句と同様、これまで明かされていなかった謎を解いてもらって、大きく膝を打つような一句。ファンタジーなんだけど、説得力ありますよね!「龍」は「水神」「海神」でもあり、落ちてバラバラになったとしても神秘の再生力で龍に戻ろうとするかも知れない。その姿があの「鰯トルネード」なのかも知れない。素晴らしいですshine

ゴッホの絵描く鰯の大水槽       はまのはの
一瞬ゴッホを唐突に感じましたが、「鰯トルネード」のあのタッチ(?)はまさしくゴッホ!有名なところでは「星月夜」の渦巻き感もですが、こちらもなかなか鰯っぽいです。これはなかなかの発見じゃないかな!少なくとも私は衝撃を受けました。はのさん、スゲー!

Photo


真鰯のトルネードより海生まれ    雅
数ある類想を制して【人】に選ばれたのがこの一句。ああ、「鰯トルネード」が、国産みの矛でかき混ぜられているところに見える・・・。シラズさんが「ひまわり畑」で仰ってたように、他の魚の餌になることも多い鰯。そもそも、捕食されることが多いからあんなに何万と群れを成しているんだろうし。万が一鰯がいなくなったとしたら、海の生態系が狂ってしまうかも知れないですね。「海生まれ」との措辞はあながち大袈裟でもないのでは、と感じました。

シチリアの鰯はここが青いんだ   司啓
まるで現地の漁師さんが目の前にいて、日焼した顔でにぱっshine白い歯がきらっshineとしたかに感じた一句です。この漁師さん、岡釣りもウマイのに違ェねェ・・・!で、「シチリアの鰯はどこが青いんだい?」と思って「シチリア 鰯」で検索をかけたら、美味しそうなパスタとか、トマト煮込みとか、名前が可愛いベッカフィーコとかいろいろ出て来て、とんだ飯テロを受けてしまったので、途中であきらめましたとさcoldsweats01

星七つ抱へ真鰯ドヤドヤと      藤井祐喜
「七つ星」から「七星剣」にワープしてしまった私でしたが、鰯についている星をそのまま詠んだこの句の、堂々たる主張っぷりに目が覚めました。「ドヤドヤ」は大漁の鰯が網からドヤァー!と溢れているようでもあり、市場の一匹一匹が「ドヤ!俺の新鮮さ!!」と迫ってくるようでもあります。こんな鰯と目が合ったら、買わざるを得ない・・・。鮮魚コーナーは足早に過ぎてしまう私なのですが、今度ちょっとゆっくり回ってみようと思いましたconfidentshine

2017年9月17日 (日)

【人】ちくちくと母のつみれの鰯かな

ささっと『俳句ポスト』の記事もUPしておきます。

【人】ちくちくと母のつみれの鰯かな

「鰯」も殆ど食べたことがなく、「トルネード」と「大漁(金子みすゞ)」のイメージしかなく、
胴体の「星」を「七星剣」に絡めてなんとか出来ないかと苦心していて、
最終的に5句しか送れず、「雲」以来の全没があるとしたらココだな・・・
・・・と覚悟していたんですが、なんとか【人】に拾って頂きましたspaほっ・・・。


<全投句一覧(投句順)>

ちくちくと母のつみれの鰯かなflair「つみれ」11件
  【人】あなうれし鰯つみれの大きこと   老人日記
  【並】母愛し鰯手開くつみれ汁       sol
  【並】鰯ちゃんつみれにしたら最高だ   いなまさ
  【並】縦横に叩いた鰯つみれなり     パオ
  【並】たたきでもつみれ汁でも鰯良し   松山
  【並】魚喰わぬ孫甘やかしつみれ汁   沼田慎也
  【並】焼きて煮て揚げにつみれと鰯かな 天晴鈍ぞ孤
  【並】目が合えば鰯囁くつみれ鍋     八意
  【並】イワシ買う煮付けかつみれかかばやきか  文学寅さん
  【並】ぷりぷりの鰯捌いてつみれ汁    由坊
【並】から一歩抜け出せたのは、「どんなつみれか」を具体的に描いたおかげでしょうか。
もう一句の【人】も、「大き」と表現していますね。

棒手振の声りんりんと鰯かなflair「鰯売り」
  【人】どの鰯売りも赤ペン耳にあり村上海斗
  【人】ごんぎつね来さうな気配鰯売る  湯川美香月
  【人】鰯裂くいただきさんの太き声   つつ井つつ*「いただきさん」=高知で行商のこと
  【人】鰯売り昼過ぎたれば荷を空けぬ ららら句
「鰮売りの声」を描きたいと思ったが「りんりん」が違うと感じていた・・・もっといがらっぽいような声が合ってますよね。「太き声」に「なるほど!」sadそして「鰯売り」になりきって「ごんぎつね」の気配を感じた一句に脱帽!
大螺旋来て百万匹の大鰯flair「螺旋」3件「百万」4件「坩堝」1件
  【人】鰯てふ巨大な坩堝網を引く     雪うさぎ
  【人】螺旋から球、三日月へ鰯群     松永裕歩
  【人】海の螺旋銀ときらめく群れ鰯    蒼奏
  【人】鰯の群れはらせん形の動詞だ   月の道
  【人】岸揺れて百万の鰯凱旋       くま鶉
  【人】潜れ潜れ網引きちぎる鰯百万   歌鈴
  【人】百万の鰯の四尾がこの卓に    亀田荒太
  【人】たえかねて破裂いわしの銀百万 小田寺登女
「トルネード」よりは「螺旋」が少なかったcoldsweats01【人】句には「動き」を感じますし、「百万」という数詞の扱いにも、血が通っている気がします。私は、並べただけでしたshock
セルゲイのイヴァシーと言う鰯かなflair外国ネタ
  【人】マンマの鰯オリーブオイルたっぷりと  つぎがい
  【人】カムチャツカの白浜鳥葬となす鰯ちりぢり 斎藤秀雄
  【人】シチリアの鰯はここが青いんだ   司啓
  【人】西班牙の飴屋なのです鰯焼く    内藤羊皐*「西班牙」=スペイン
回遊魚である「鰯」ですので、世界へ目を向けてみようと思ったのですが、
「ほほう、ロシアでは『イヴァシー』というのか」で止まってしまい、ドラマが描けていませんでしたshock「イヴァン」で韻を踏みたいと思ったもののうまく嵌らず、四音の名前を探したんですが、・・・名前で悩んでる場合じゃなかった!!!
大鰯七星剣は破邪の剣flair「七つ星」1件「星七つ」2件
  【人】七つ星つける鰯の味無限      津葦@鰯の体には星印が9個あるという
  【人】星七つ抱へ真鰯ドヤドヤと     藤井祐喜
  【人】真鰯や夜空に赤く星七つ      港のヨーコ
「鰯」についている「星」をなんとか・・・と思っていたのですが力及ばずshock「七」のつかない「星」の句は20件くらいあったかな?王道の取り合わせでしたね。


投句数が少ないので、上位互換句と並べてみました。
うーん、やっぱり自分の句に足りなかったモノがよく分かる・・・。
自分の目標の投句数を守れなかった不甲斐なさとともに、
いろいろしっかり噛み締めなくちゃと思った木曜日でした。

そして今回も素晴らしかった金曜日!!!
【天】めいおう星さん、【地】すな恵さん&かをりさん、おめでとうございます!!

あああ~~~、ちょっと鰯トルネードに揉まれてくる・・・
最後になりましたが、木曜・金曜掲載の皆さま、おめでとうございます!!!

2017年9月 3日 (日)

◆「菊日和」金曜日&十句選

◆金曜日(敬称略)
今週も素晴らしい句に圧倒されました。
見過ごしていた場所、見たこともない場所へ連れていってくれる、それが金曜日。
いずれも素晴らしいお句ですが、中でも特にお気に入りを少し紹介させて頂きます。
全然言い足りなく、自分の未熟さが悲しくなりますが、どうかご容赦下さい。

【天】ひかひかと手話の一団菊日和     とおと
「ひかひか」とのオノマトペが何といっても秀逸!!
「ひらひら」と「ぴかぴか」、「ひそひそ」と「あかあか」といった、
音もなく展開する話題に、明るい笑顔が弾けている情景が浮かびました。
「菊日和」の明るさ・爽やかさの中で、この時間をこの空間を堪能している幸せな一団。
「手話」独特の動きに、清涼な水の流れのような、さやかな音を感じました。

【地】菊びより月の抱く水地の抱く火    めいおう星
「菊びより」という、日中を思わせる季語に続けて出て来る「月」が意外でしたが、
なるほど秋の澄んだ空気の中で、昼間の白い月はことさら清らかに見えると納得しました。
「月」と「地球」という、スケールの大きな措辞を受け止める「菊びより」という季語。
古くから愛され、日本文化とともにある「菊」は、何よりも「歴史」を感じさせる花です。
この先、文明がいかように進歩(あるいは衰退)しようとも、
そのすべてを見守り続けるであろう「月」と「地球」、その抱くものに思いを馳せる、
そんな中で蠢く小さな人間、ちっぽけな私は、「菊びより」の明るく爽やかな空気の中で、
たとえほんの少しでも、佳い存在でありたいものだ・・・といった感慨を持ちました。


◆十句選(敬称略)
木曜日掲載の句の中から、私のお気に入りを紹介させて頂きます。
没句の上位互換句だな・・・!と感じたもの、いろいろありました。
自分の中にまったくなかった発想、たくさんありました。
気ままに感じたことを書いておりますが、どうか広い心でご勘弁頂ければと存じます。


菊日和天守閣から見る大河      豊田すばる
景に大きさと高さがあり、風を感じるほど鮮やかに胸に飛び込んできた一句。
そして我らが監督・葦たかしさんの名鑑賞に惚れ惚れ。以下全文コピペさせて頂きます。
数年前の秋に行った岐阜城を思い出します。
天守閣に登ると広々とした濃尾平野とその中を悠々と流れる長良川と揖斐川が見えました。
城内の広場には鉢植えの丹精込めた菊が幾つも並んでいました。
道三、竜興、信長も同じ景色を見たのでしょうか。(掲示板「ひまわり畑」より)

おかげで、私もまさに現地に飛んだ思いが致しました。有難うございます!!

機会とは作るものです菊日和     かをり
これは私の没句「約束の菊日和まで髪を梳く」のアンサーソング(?)のように感じた一句。
「秋になったら、二人でどこか行こうよ」
などという漠然とした約束・・・いつ訪れるかと待っている女性を描きましたが、
そうじゃなかったんだ!flair積極的にこっちから声をかければいいんだ!flair
ただ待っているだけでは何も起こらない、自分から扉を開けないと!!!
「秋日和」ではなく「菊日和」だからこそ、明確に目指すべきところがある、という気がしてきます。

菊日和なんでもありますロバのパン すりいぴい
「菊日和」という言葉に漂っている「歴史臭」の中でも、「昭和臭」を強く感じた一句。
「馬」の句が23句あったのに対して「ロバ」の句は一句だけというオリジナリティも。
ダンナが子どものころ、お母さんの引っ張るロバのパンのリヤカーを後押しして、
長崎の坂道を登っていったという話を聞いていたので、切なさ三倍増し。
「ロバのパン」は時代の流れとともに形態を変えていきましたが、
「菊日和」という美しい言葉は、ずっと変わらずいつまでも残って欲しいです。

昼酒の理由(わけ)を質せば菊日和 トポル
没句「空吸やげに佳き菊日和じゃいか」の上位互換句。
飲んでる人の句を書こう、そうだ酒豪の多い「土佐弁」で行こう、
そういえば高知の人から底の丸いぐい飲みを貰ったぞ~!と連想が進んで、
自分ではいい感じに乾杯している句が書けたと思ったのですが、
「やげに」と繋がっている部分の読み難さを解消することが出来ませんでした。
「方言」というアイディアに固執せずとも・・・と大いに反省させられましたsadsweat01

馬の耳さやに前向く菊日和      高尾彩
「馬の耳」に焦点を絞った一句。
馬は大変に繊細で神経質な生き物で、落ち着かない場所では絶えず耳を動かしています。
その馬が耳をすうっと前に向ける・・・目の前のものに興味を示している時の仕草です。
「道中で耳が立ってる馬はリラックスしてるから、良い走りをすることが多い」(by武豊)
何気ない仕草が、「菊日和」の明るさ・穏やかさ・健やかさを感じさせますね。
菊日和御紋を羽織る神馬かな(斎乃雪)」も好きです!

帯の鈴りり、りり、りりり菊日和    楠えり子
「菊日和」に透明感溢れる「鈴」の音を配した一句。
「帯の」ということで和装のはんなりとした風情が脳裏に描かれ、
細やかに刻まれる「りり、りり、りりり」という鈴の音に、これから向かう先への、
甘やかで涼やかな期待感が窺われるように思います。
鈴のオノマトペとして「りりり」は平凡でも、このように句読点を挟むことで、
臨場感が増し、新鮮な印象に変わるのですね!shine

人形の頬の艶めく菊日和       28あずきち
「菊日和」と言えば「菊人形展」、この直球ド真ん中の発想に真っ向取り組んだ一句。
「人形」の句は10句あり、そのうち2句が人選で【並】との違いを示してあるようです。
同じようなことを言いたい句が多い中、「よりスッキリ、よりハッキリ」が際立っています。
「菊日和」という、天文の季語(イメージだけ)の中に持ち込まれた「人形の頬の艶」、
硬質でいて滑らかで、触れ難い色気に匂い立つような・・・。
菊の衣を纏って、誰よりもこの日を喜んでいる美しい人形がありありと浮かびます。

現地集合現地解散菊日和      かるかるか
「菊日和」では、いつもよりも「全漢字」の句が多いように思います。
「菊日和」という言葉自体に漢語のイメージがあるのか、いかにもふさわしく感じられます。
どの句も見事なのですが、「思わず出かけたくなる」という季語の本意を捉え、
歯切れのいいリズムで、七・七・五の破調を一気に読み下させる力量に感心しました。
勢いよく「現地集合!」で始まり、「現地解散、菊日和」と、からっとピタっと着地する、
この明るさ、この爽やかさが、いかにも「菊日和」だと感じました。

菊日和佳き死と言はれ父の葬    空 春翔
私が「菊日和」から最初に連想した「法要」のイメージ。
それをストレートに、そして過不足なく言い表した一句です。
「佳き死」との措辞に、故人の人柄や死に際の様子が偲ばれ、
斎場から上がる煙が、さらばと手を振るように風にたなびくのが見えるよう。
悔恨の念の湧かない看取りはないと思いますが、
それでも「佳き死」であったと、他ならぬ故人が囁いているように感じました。

菊日和妻琴を出し弾かざりき     丹羽国守
澄み切った秋の空気の中で、美しい音を聴く・・・という句をたくさん見ますが、
下五に「弾かざりき」を置いたこの句の意外性が際立って感じられました。
しかし、それでありながら、この句は決して無音ではありません。
あまりの美しい「菊日和」、ただ琴を置いておくだけで、豊かに流れる音を感じるのです。
八木重吉の詩を思い出しました。もしかするとこの「妻」もこの詩を知っていて、
琴がひとりでに鳴りだすのを待っているのかも・・・!



最後になりましたが、『俳句ポスト』兼題「菊日和」に掲載の皆さま、
おめでとうございます!!!

2017年9月 2日 (土)

◆「菊日和」木曜日

月曜日から金曜日まで、たっぷり楽しい『俳句ポスト』。
「菊日和」でも、驚き、発見、笑いや涙・・・さまざまな感情を揺さぶられました。
木曜日は、交流のある皆さまのお名前&お句をたくさん拝見して幸せheart04
ここでは、チームの皆さんの紹介だけさせて頂きますねshine

【人】
しつけ糸するりと抜けて菊日和     さるぼぼ@チーム天地夢遥
玉結び綺麗に閉じて菊日和       佐川寿々@チーム天地夢遥
菊日和射的の客の前のめり       佐東亜阿介@チーム天地夢遥
米櫃の底見えし日や菊日和       松尾千波矢@チーム天地夢遥
納骨は此処でいいわと菊日和      葉音@チーム天地夢遥
【並】
天満宮柏手響く菊日和          松尾富美子@チーム天地夢遥

おぉ、さるぼぼさんと寿々さんが図らずも「お裁縫」に着目!
「するりと」「綺麗に」、すっきりと作業を終えて、
「さあ用事も済んだし、出かけようかしら。外はいいお天気だわ」
と明るい方へ意識を向ける流れも自然。
葉音さんのお句は、「納骨」という言葉を使いながら、読後感が爽やか!
スッキリと明るくて、「菊日和」の晴れやかな心持ちがぴったりきます。
それに比べて私の没句群は、ちょっと寂しかったのかな?
葉音さんのお句を見て「ハッ」と思ったところがあり、
2句ほど「投句リスト」から隠しておりまする・・・。
日の目を見ることが出来たら、その時「この句でした」とバラしますね。
その時が来ることを切に願っておりまする~~~!coldsweats01

また、この「菊日和」で「小川めぐる@チーム天地夢遥」は最後になります。
「鰯」からチーム名を外して投句しております。
もちろん、外したからといって天地への憧れが消える訳ではありませんが、
まずは「しっかりと【人】であること」が一番の目標なので、
今一度初心に帰って、足元から踏み固めたい、という気持ちが強くなったのです。
新たな気持ちで、『俳句ポスト』に取り組んでいきたいと思っていますので、
温かい目で見守って頂ければ幸いです・・・
あっ、生温かい目でも嬉しいです、どうぞよろしくお願い致しますshineconfidentshine

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